アセビは羊を中毒死させる 感想

植物の生存競争3部作の2です

庭木を多く取り扱っていて、親しみやすい一冊となっていて

面白さでいえば、今作が随一です。 

 

以下抜粋

「アオキの葉には毒がなく、シカにとってはごちそうである。

アオキが居心地のよい場所をみつけ、そこで繁栄し始めたときから、今度はアオキ自身が、天敵にとって居心地のいい場所として狙われる運命なのである。

 

樹木の場合、樹皮のすぐ内側には形成層という部分があり、そこは新しい細胞が生まれる場である。  形成層の内側の、より幹に近い部分では寿命が尽きた古い細胞が次々に死んでいく。樹木の幹の大部分は、死んでしまった細胞の外壁が集まって出来ているのである。死んだ細胞が幹を支えているのだ。

 

樹木はその生存戦略からみて、大きく分けて三つのタイプに分けられる。

 

①植生のない空いた土地(攪乱地)にまっさきに侵入し定着するタイプ(先駆的なタイプ)

②他の種との競争に打ち勝って優占するタイプ(競争に強いタイプ)

③先駆的ではないし、競争に強くもないが、劣悪な環境条件に耐えられるタイプ(ストレスに強いタイプ)

 

雑木林とは、かつては一五年位の周期で伐採されていた森である。 細い木が多かったし、傘をさしても歩ける位の立木の密度であった。

 

トゲも退化する。 トゲを出さなくても生き残ることに影響はなかったということだろう。トゲをつけるのにもコストがかかるので、トゲを出さずに余計なコストを省いたほうが、むしろ生き延びやすいのかもしれない。」

 

 相変わらず、植物も動物もすべては生き残る戦略に違いはなさそうです。